「珠せいろ」のムシしちゃいやよ牡蠣ストーリー vol.06
大統領は「珠せいろ」がお好き!?
観終わった後、胸いっぱい、でも、おなかペコペコになる映画、それが「大統領の料理人」です。
一昨年秋から公開されて大ヒットしたフランス映画で、1988年から2年間にわたってミッテラン大統領(1916-1996)の専属シェフを務めた、ダニエル・デルプシュの実話をもとにしています。
フランスといえは、芸術の国、ファッションの国、美食の国……と、まさに「文化の宝庫」。なかでも美味しいものを食べるためならば、命がけ! この映画にもそのお国柄が良く表現されています。
フランスの大統領官邸であるエリゼ宮に、大統領の専属料理人として招かれ、堅苦しい規律や男性料理人たちの冷たい視線を尻目に、本当に美味しい料理をつくるために奮闘する。しかも、退職後には、何と南極地域で料理の腕を振るう女性の痛快な軌跡です。
この映画、別名「トリュフの映画」といわれるくらい、トリュフが登場しますが、どっこい、牡蠣も存在感を出しています。
いわば裏の主役、物語が大きく動きはじめる場面で登場します。しかも、真夏の牡蠣。
さすが、牡蠣先進国のフランス。夏でも牡蠣を食べるのですね。
じつは、実際のミッテラン大統領も牡蠣に目がなかったとのこと。
ある地方都市で大統領が演説することになっているのに、予定時刻になっても現れない。
突発的な急用かとウワサしているところに2時間遅れで到着。
のちに、ぜひブルターニュ特産の牡蠣を食したいと所望し、ある小さな漁港のカフェーの前で車を止めさせ、一人で2ダースもの牡蠣を堪能していた、なんて逸話があるほど。
さて、「本物のシンプル」を求めたミッテラン大統領。
蒸しかき「珠せいろ」を献上したら、どんなに喜ばれたでしょう。
きっと「パルフェ!(完璧)」とウインクでサムズアップされたことでしょう。
ちなみに、この映画の中で主人公の口から2回、日本の名が出てきます。
そのくらい美食の国フランスでも、日本の食は関心の的なのですね。